06-6686-7623

骨粗鬆症の薬

骨粗鬆症の薬を飲まないとどうなる?

骨粗鬆症の治療中なんですけど、お薬を毎日飲むのがちょっと面倒で...
もしお薬をやめた場合、どうなるんでしょう?

個人差はありますが、骨粗鬆症の患者様がお薬を飲まない状態を続けると、
将来的に骨が折れるリスク / 将来的に寝たきり状態になるリスク
が高まりやすくなります。

特にご高齢者の場合、背骨や脚の付け根の骨折などをひとたび起こすと、生活するうえでの活動性が著しく低下します。
骨折するまでは元気に歩いていた方であっても、場合によっては寝たきり状態になったり、元の生活に戻ることが難しくなってしまうケースが多いです。

ふむ...
私は骨粗鬆症やけど痛みがあんまりないから、薬は飲まんくてもええかなー... って軽く感じていたんですけど、寝たきり状態になるのは怖いですね。

そうです。
骨粗鬆症はゆっくり進行していくので、痛みがない場合が多い。つまり、
お薬を飲まなくても問題なさそうに感じること
が1つの怖い部分でもあります。

そして骨折などと異なり、骨粗鬆症は、
「治療の実感を感じにくいこと」
も特徴的です。

ただしお薬を飲まない状態を続けると、骨の内部が弱くなっていくリスクが次第に高まります。

骨粗鬆症のお薬の主な役割は、
「骨の過剰な分解を抑えること、あるいは骨の再生を助けること」
です。
よって薬剤療法を適切に継続しなければ、骨密度の低下スピードを制御しにくくなります。

そうした結果、ふとした動作で骨が折れる「いつのまにか骨折」が起きやすくなるのです。

背骨を骨折した場合、身長低下や背中の丸まりとして影響が現れることもあります。

そういえば私のお母さんも晩年は、背中が丸かったっけ...

あるいは太ももの付け根 (大腿骨近位部) を骨折した場合、手術や長期入院につながり、その後の生活の質 (QOL) が大きく低下するケースもあります。

日本国内において介護や支援が必要になる原因は、
「骨折、転倒」
が認知症や脳卒中についで第3位です。

骨粗鬆症が原因で骨折を起こし、日常生活動作 (ADL) が困難になることも少なくありません。

健康的な生活を送るためには、定期的な骨密度検査や生活環境の改善など、骨の健康を維持するためのかかりつけ医や医療サービスとの連携が大切です。

ちなみに「骨粗鬆症の検査 / 検診」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

そうした一方で、
「薬は飲みたくないなぁ...」
「薬に頼らないようにしたい」
と感じている患者様も一定数おられます。
もちろん、日々の行動に気を付けていたり強い意志を持たれていることは、素晴らしいことです。

ただし、骨粗鬆症を食事や運動だけで解決することは、不可能に近いです。

お薬を飲まないまま、自然と骨密度が上がったりすることもありません。
そのため、
「薬物治療が必要であること」
をご理解いただくことが大切になります。

また、薬物治療を開始した場合であっても、自己中断をしてしまったり通院をやめてしまう方もおられます。

その場合、それなりの理由 (副作用や血液検査異常など) があれば致し方ありませんので、なるべく代替治療を行うことになります。
ただし薬剤の種類によっては、中断することがかえって「骨折リスクを増してしまう事」もありますので、注意が必要です。

以上のことから、骨粗鬆症も基本的には、
お薬を使い続ける (飲み続ける) こと
が望まれます。

ふむ... その「お薬を続ける」っていうのは、高血圧や糖尿病にも似ていますね。

似ています。
それともちろん、定期診察を通じて副作用の有無や、必要に応じて採血による血液のチェックも大切ですよ。

そのほか、骨粗鬆症の治療をするうえで、お薬の投与順に注意が必要なパターンもあります。

ある特定の薬剤を投与終了した後、骨粗鬆症の治療をやめたらどうなるかというと、
「急速に骨密度が低下し、圧迫骨折を引き起こしやすくなる」
ということが知られています (詳細後述) 。

そのため骨粗鬆症の診察や治療を受ける予定の方は、骨粗鬆症治療の豊富な経験と実績をもつ医師にご相談されることをおすすめします。

なるほど...
要は、骨粗鬆症のお薬を一生飲み続けないといけないんでしょうか...!?

必ずしもそうとは限りません。
治療を続けるなかで都度、患者様の状態を確認しながら医師が、
「お薬の続行 or お薬の変更 or お薬の一時中断」
を定期判断していく流れになるでしょう。

ただし、
「すでに骨折リスクの高い方の場合 (ご高齢、すでに骨折歴あり、骨密度がとても低いなど) 」
は結果的にご生涯を通じて、骨粗鬆症のお薬が必要になることが多いです。

以上のことから骨粗鬆症の治療では、薬物治療が重要な役割を果たしています。

骨粗鬆症の薬は危険なの? 副作用と正しい飲み方

なるほどなぁ... でもやっぱり、副作用の有無も気になるんですよ。
骨粗鬆症のお薬を飲み続けるとどうなるんでしょう?

骨粗鬆症薬の長期使用に際して、副作用のリスクを伴うのは事実です。
薬剤ごとのリスクを正しく理解していきましょう。

骨粗鬆症のお薬において「重度の副作用」は、全体として非常に頻度が低いと考えられています。
ただし、お薬の種類ごとに起こりやすい副作用があります。

骨粗鬆症薬の副作用の例 ① ビスホスホネート製剤の場合

骨粗鬆症薬で最もよく使われるビスホスホネート製剤の場合、よくある副作用としては、
・胃の不快感
・胸やけ
・だるさ
・注射部位の痛み (点滴の場合)
があります。

そしてまれですが、重度の副作用としては、
・顎骨壊死 (顎の骨のトラブル)
・非定型大腿骨骨折 (太ももの特殊な骨折)
・低カルシウム血症 (しびれ・けいれん)
があります。
※低カルシウム血症は、発生頻度こそ高くないものの注意が必要。

顎骨壊死の写真を見てみたけど、とても恐ろしいですね...
私は歯科にも通っているんやけど、骨粗鬆症の薬を使っている場合、抜歯するのは危険ですか?

もしビスホスホネート製剤を使用している場合、またはデノスマブを使用している場合、まれとはいえ顎骨壊死が起こる危険性があります。

そのため、抜歯前に必ず主治医と歯科医の両方に服用中のお薬を伝え、必ず治療のタイミングや方法を事前相談しておきましょう。

ビスホスホネート製剤の「毎日飲むタイプ」と「月1回飲むタイプ」

ちなみにビスホスホネート製剤のなかでも、例えばミノドロン酸やらアレンドロン酸とかって、同じ薬剤名なのになぜか「毎日飲むタイプ」と「月1回飲むタイプ」の両方がありますよね?
違いは何でしょう...?

良い質問ですね。
確かに、なぜ複数種類があるのか、副作用の差も気になると思います。

ビスホスホネート製剤は、1度骨に取りこまれると長期間にわたって骨にとどまり、そこで作用し続ける特性があります。
この、
「長く作用し続ける」
という性質があるため、必ずしも毎日飲み続けなくとも、一定量が骨に届きさえすれば効果を保つことができるのです。

なるほど。
長く効くんなら、月1回飲むタイプのほうが楽でええかな...?

そうとは限りません。
それぞれに特性があるので、1人1人の患者様に合ったお薬を選択することになりますよ。

「毎日飲むタイプ」は、1回の成分量が少ないかわりに、毎日の積み重ねで必要量を確保できるように設計されています。
頻度は高くありませんが副作用のリスクとして、毎日飲むことになるので、胃の不快感や胸やけが比較的みられやすいです。

「月1回飲むタイプ」は、1回の成分量が多いものの、少ない回数で必要量を確保できるように設計されています。
頻度は高くありませんが副作用のリスクとして、1回の成分量が多いので、低カルシウム血症やだるさなどが起こる場合があります。

このような性質の違いにより、
「毎日飲むタイプ」
「月1回飲むタイプ」
の両方があり、1人1人の患者様の体質や基礎疾患などに応じて、適したお薬を選択する流れになります。

骨粗鬆症薬の副作用の例 ② 骨形成促進剤 (テリパラチドなど) の場合

骨形成促進剤 (テリパラチドなど) の場合、起こりうる副作用としては、
・高カルシウム血症
・尿路結石
があります。

副作用を防ぐために: 骨粗鬆症薬の正しい飲み方

こうした副作用のリスクは、正しい飲み方 (飲み合わせなど) と定期チェックを行うことで、抑えやすくなります。

骨粗鬆症薬の正しい飲み方: ビスホスホネート製剤 (飲み薬) の場合

ビスホスホネート製剤 (飲み薬) を使用する場合は、以下の点を守ることが重要です。

  1. 起床後すぐに、コップ1杯の水で飲む。
  2. 30分〜1時間は横にならず、座るか立つ姿勢を保つ。その間は、食事や他の薬をとらないこと。

理由は、ビスホスホネート製剤というのは飲み薬における薬剤吸収率が非常に低く、食べ物の成分と結合すると薬剤吸収が妨げられてしまうためです。
よって、朝起きてからすぐの空腹時に飲む必要があります。

また、牛乳やコーヒーと一緒に飲んだ場合であっても、薬剤吸収がほとんどなされませんので注意しましょう。

ただし例外として、医師が必要と判断した場合、
「ビスホスホネート製剤をはじめとする骨粗鬆症のお薬と、ビタミンD製剤などを組み合わせる」
という治療法もあります。
この場合は、単独使用よりも骨密度を上げやすいことが分かっています。
これは注射製剤でも同様です。

念のための注意事項としまして、これは患者様の自己判断で追加併用してよいという意味ではありません
併用すると患者様によっては、高カルシウム血症や腎結石のリスクが上がってしまいますので、必ず医師の判断のもとに治療を進めましょう。

骨粗鬆症薬の正しい飲み方の例 ② 注射薬や点滴薬の場合

注射薬や点滴薬の場合は、
「腎機能やカルシウム値を、(医師が) 定期的な血液検査で確認しながら投与すること」
で安全性が高まります。

骨粗鬆症薬の正しい飲み方: 共通事項

骨粗鬆症薬のなかには歯科治療と関係のあるお薬があり、場合によっては (別項にて解説したように) 顎骨壊死のリスクも発生します。
そのため口腔ケアや歯科受診のタイミングは、医師に事前相談しておきましょう。

以上のように骨粗鬆症の薬には副作用リスクがありますが、
「個々の患者様に合った薬剤」
を医師が適切に選び、患者様が正しい飲み方で服用をすれば、
「骨折を防ぐメリット」
のほうが副作用リスクを上回ることが多いです。

「危ないと感じるからすぐにやめたい」と即断するよりも、ご自身の状態やお悩みを主治医と相談しながら、納得のできる治療法を決めていくことが大切になります。

当院「むつみクリニック」の場合は骨粗鬆症の治療前、
・お薬に関する正しい理解をしていただくこと。
・お薬の処方時、口腔環境の衛生状態をきれいに保っていただく必要があること。
・担当歯科医師との連携が必要になる場合もあること。
などを患者様にお話しするようにしています。

そしてもちろん薬剤療法だけでなく、食事療法や運動療法も大切な要素です。
総合的な視点から、1人1人に合った治療戦略をたてることが理想的といえるでしょう。

ちなみに「骨粗鬆症と栄養」については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。

骨粗鬆症の治療薬一覧

ここでは、骨粗鬆症の治療薬 (予防薬) を解説します。
自分のお薬をチェックしてみてね💡

はじめに知っておきたいこととして骨粗鬆症薬は、
骨吸収抑制のお薬 (骨が壊れていく状態を抑える)
骨形成促進のお薬 (骨が作られていく状態を促す)
この2つに分けられます。

骨粗鬆症の治療薬: 骨吸収抑制が主な作用の薬剤

まず、骨吸収抑制のお薬 (骨が壊れていく状態を抑える) を見ていきましょう 🗒

① ビスホスホネート薬

ビスホスホネート薬は、骨粗鬆症診療で最も使用されているお薬の1つです。
内服、注射、点滴などさまざまな投与方法があることが特徴です。

「ビスフォスフォネート」と書くこともあります。

【ビスホスホネート薬: 効果

ビスホスホネートは、「破骨細胞 (はこつさいぼう) 」という骨を壊す細胞のはたらきを抑える薬です。

はこつさいぼう… そんな細胞があるんですね。

はい。
この破骨細胞とは本来、古くなった骨を壊して新しい骨に入れ替える役割のものでして、体にとって必要な存在です。

しかし、この破骨細胞のはたらきが過剰になると、骨が減り過ぎてしまいます。
そこでビスホスホネートを使うと、その流れを抑えて骨密度が保たれ、骨折を防ぐことにつながります。

ビスホスホネートは、飲み薬でも注射 / 点滴でも、体に入るとすぐに骨に取りこまれます。
骨にこの薬が沈着することで、骨を壊す細胞の影響を受けにくくなり、結果として骨密度が上がっていくことにつながるのです。

大規模な臨床試験 (効果や安全性を調べる研究) では、最初の1年間で腰の骨密度が約6%増え、3年間で骨粗鬆症による背骨の圧迫骨折や大腿骨の骨折を約半分に減らせることが分かっています。

【ビスホスホネート薬: 投与法

内服時は毎日飲むタイプ、週1回飲むタイプ、月1回飲むタイプ… と、幅広い種類があります。

ただし錠剤 (飲み薬) では生体利用効率が悪いので、月1回の注射や点滴、年1回の点滴で済む薬剤… と、血管から投与する静脈注射のタイプもよく利用されています。

何でそんなに色んなタイプがあるんでしたっけ?

ビスホスホネートは、骨にくっついて長く効果を発揮するお薬ですので、(他のお薬と異なり) 必ずしも毎日血液中に流れている必要はありません。
よって、色んな投与間隔のものがあるというわけです。

ビスホスホネートは内服時も特徴的で、
起床後、空腹時の食前、コップ1杯の水で飲む
という飲み方になります。

食べる前なんですね。

はい。
もし食後に服用すると、食べ物に含まれるカルシウムと結合してしまい、お薬が効果的に吸収されなくなってしまいます。
そのため、起床後の空腹時 (食前) に飲む必要があります。
※他のお薬と同時に飲んだりしてはいけません。

服用後はすぐに朝ごはんを食べていいんですか?

いいえ。
服用後は、朝食まで30分間以上をあける必要があります。

また、食道内に残ると食道炎を起こすおそれがあるので、服用後30分間は横になってはなりません。
詳しくは次の項目「副作用」にて説明します。

【ビスホスホネート薬: 副作用

・食道炎
飲んだお薬が胃まで届かず、食道に錠剤がとどまると、食道炎を起こす可能性があります。
そのため、コップ1杯の水と一緒に服用し、その後30分間は横になってはなりません。
ただし、ずっと立っていたり座っていたりする必要はなく、服用後すぐに横にならないように気をつければ大丈夫です。
以上のことから寝たきりの患者様である場合、ビスホスホネートの錠剤は適していませんので、注射や点滴製剤が望ましいでしょう。

・消化器症状
空腹時の服用になるため、消化管の副作用が1割程度の方にみられます。
逆流性食道炎、胃炎、十二指腸潰瘍などを持つ患者様には、注意して投与する必要があります。
食道や胃に対して、優しいゼリータイプの薬剤も出ています。飲みこみにくいことを気にされる方や、上で述べた食道炎を避ける観点からも、ゼリー製剤はメリットがあります。

・関節痛や腰痛

・顎骨壊死 (がっこつえし)
顎骨壊死については別ページ、薬物治療中の「顎骨壊死」に注意を部分にて詳しく説明しています。

・非定型骨折
非定型骨折とは、主に太ももの骨の真ん中辺り (大腿骨骨幹部) に起こりやすい骨折のことをいいます。
極めてまれですが、ビスホスホネート製剤を長期間服用している場合に生じることもあります。
痛みを感じる場合には、かかりつけ医にご相談ください。

【ビスホスホネート薬: 代表薬剤と1ヶ月の費用】

※全額自己負担として説明しておりますが、実際には70〜80代以上の方が多いので、1割負担で計算するとより実情に近い数字になると思います。
※説明にあたって、「初診料」「再診料」「管理料」などは割愛。

▼アレンドロネート (ボナロン® フォサマック®)

頻度投与法1ヶ月の費用
1日1回錠剤18-49円
週1回錠剤109-297円
週1回ゼリー剤742円
月1回点滴1,063-3,618円

▼リセドロネート (ベネット® アクトネル®)

頻度投与法1ヶ月の費用
1日1回錠剤23-26円
週1回錠剤105-140円
月1回錠剤415-1,545円

▼ミノドロネート (ボノテオ® リカルボン®)

頻度投与法1ヶ月の費用
1日1回錠剤21-69円
月1回錠剤500-1,842円

▼イバンドロネート (ボンビバ®)

頻度投与法1ヶ月の費用
月1回錠剤1,901円
月1回注射1,947-4,020円

▼ゾレドロネート (リクラスト®)

頻度投与法1ヶ月の費用
年1回点滴35,007円

② 抗RANKL抗体薬 (デノスマブ)

ビスホスホネート製剤と同じく、「破骨細胞 (はこつさいぼう) 」という骨を壊す細胞のはたらきを抑えるお薬です。

破骨細胞 (はこつさいぼう) 💡
古くなった骨を壊して、新しい骨に入れ替えてくれる細胞ですね。

そうです。
そして、その破骨細胞のはたらきが過剰になると、骨が減り過ぎてしまいます。

【抗RANKL抗体薬 (デノスマブ): 効果】

抗RANKL抗体薬 (デノスマブ) は、この破骨細胞に欠かせない物質「RANKL (ランクル) 」に対する抗体です。
皮下注射することで、破骨細胞のはたらきを抑え、骨密度を高めて骨折を予防してくれます。

ふむ...
「骨が過度に壊されることを防ぐ」という意味では、ビスホスホネートと似ていますよね。

はい。
ただし抗RANKL抗体薬 (デノスマブ) のほうが、長期使用した場合には、より骨密度が上昇することも分かっています。

6ヶ月に1回の皮下注射で治療できるので、通院頻度を少なくできる利点もあります。

一方でこのお薬は、血液中にある間だけ効果を発揮しますので、時間が経過して血液中からお薬がなくなると、効き目がゆっくりと切れていきます。

つまり継続使用を前提としています。

そのため、このお薬をやめたあとに何の治療も行わずに放置すると、骨密度が急に減りやすくなり、骨折リスクが高まることが分かっています。
休薬する場合には、医師への事前相談が重要です。

【抗RANKL抗体薬 (デノスマブ): 投与法】

医療機関にて、6ヶ月に1度、皮下注射を行います。

【抗RANKL抗体薬 (デノスマブ): 副作用】

・低カルシウム血症
抗RANKL抗体薬 (デノスマブ) は「骨が過度に壊されるのを防ぐ力」が強いので、骨から血液中にカルシウムが溶け出す量が少なくなります。その結果、血液中のカルシウム濃度が下がり、「低カルシウム血症」という状態になりやすくなります。特に腎機能が低下している方は、注意が必要です。
症状としては、手足のふるえ、筋肉の脱力感、けいれんなどがあります。
この副作用は「初回投与後1週間ほど」で起こることが多いので、抗RANKL抗体薬 (デノスマブ) を打つ前後には血液検査を行い、血中カルシウム濃度を確認しておくことも大切です。
また、カルシウムやマグネシウム、ビタミンDの合剤であるデノタスや活性型ビタミンDを併用することで、低カルシウム血症を予防することができます。
※補足としてデノタスは、プラリア投与をしている場合のみ保険適応となります。

【抗RANKL抗体薬 (デノスマブ): 代表薬剤と1ヶ月の費用】

※全額自己負担として説明しておりますが、実際には70〜80代以上の方が多いので、1割負担で計算するとより実情に近い数字になると思います。
※説明にあたって、「初診料」「再診料」「管理料」などは割愛。

▼プラリア®

頻度投与法1ヶ月の費用
半年に1回皮下注射28,136円 / 6ヶ月

③ 選択的エストロゲン受容体作動薬 (別名: SERM)

SERM (さーむ) は、女性ホルモンが持っている「骨を守るはたらき」を助けてくれるお薬で、骨を強くして骨折を減らす効果があります。
※このお薬は、主に閉経後の女性に使用されています。

【選択的エストロゲン受容体作動薬 (別名: SERM): 効果】

女性は閉経期以降、「エストロゲン (女性ホルモン) 」の血中濃度が減少し、骨が弱くなっていきます。
このことを「閉経後骨粗鬆症」といいます。

エストロゲンって言葉、聞いたことがあります。
女性ホルモンのことなんやね。

はい、そうなんです。

SERMは、骨にあるエストロゲンの受容体 (女性ホルモンの作用するところ) と結合し、女性ホルモンと同じような効果で骨を強くしてくれます。

女性ホルモンには「骨が過度に壊される事象を防ぐ作用」があるのですが、このSERMも同じように骨密度を高め、骨折を減らしてくれる効果があります。

【選択的エストロゲン受容体作動薬 (別名: SERM): 投与法】

1日1回、食事や時間に関係なく、服用が可能です。
※ビスホスホネートのように複雑な飲み方は不要。

【選択的エストロゲン受容体作動薬 (別名: SERM): 副作用】

実際の副作用について解説する前に、まず正しく理解しておきたいポイントがあります。

女性ホルモンを長期的に服用すると、乳がんのリスクが上がります。
そしてこのSERMのうち、乳がんの治療に使用される「タモキシフェン」という分類のお薬は、子宮内膜への刺激作用があることから、子宮体がんのリスクを上げることも知られています。

そのため、SERMを飲みはじめる患者様からは、
「乳がんになりやすいのでは?」
とご質問を受けることが多いです。

ただし骨粗鬆症の治療で用いられているSERMは、女性ホルモンでもタモキシフェンでもなく、
「ラロキシフェン」
という分類のお薬です。このお薬に関しては、
「乳がんや子宮体がんのリスクが増える心配」
はありません。

ラロキシフェンは、乳腺においてエストロゲンの刺激を弱めるので、逆に「乳がんの発症リスクを下げる効果」が報告されています。
また、子宮への刺激が少ないので、子宮体がんのリスクが大きく増える心配もまずありません。

なるほど、理解できました...!

それでは、実際のSERMの副作用について解説してまいりましょう。

・静脈血栓症
数千人に1人の割合で発生する副作用です。
急に足がむくみ始めたり (深部静脈血栓症) 、突然視野の一部がかすんで見えにくくなったり (網膜静脈血栓症) した場合は、すぐに担当医や眼科医の診察を受ける必要があります。
また、過去に血栓症を起こしたことのある方には、処方を避ける必要があります。

・肝機能障害
まれにですが、肝機能がときどき悪化することがあります。
そのため、定期的に血液検査を行い、肝機能の値を確認する必要があります。
肝機能障害があれば、休薬することで回復することがほとんどです。

【選択的エストロゲン受容体作動薬 (別名: SERM): 代表薬剤と1ヶ月の費用】

※全額自己負担として説明しておりますが、実際には70〜80代以上の方が多いので、1割負担で計算するとより実情に近い数字になると思います。
※説明にあたって、「初診料」「再診料」「管理料」などは割愛。

▼ラロキシフェン (エビスタ®)

頻度投与法1ヶ月の費用
1日1回錠剤26.4-66.4円

▼バセドキシフェン (ビビアント®)

頻度投与法1ヶ月の費用
1日1回錠剤32.5-67.8円

骨粗鬆症の治療薬: 骨形成促進が主な作用の薬剤

次は、骨形成促進のお薬 (骨が作られていく状態を促す) を見ていきましょう。

① テリパラチド

テリパラチドは、PTH薬の1つであり、重症の骨粗鬆症に使用されるお薬です。骨形成能力を促進し、高い骨折抑制効果があります。

【テリパラチド: 効果】

テリパラチドは、「副甲状腺ホルモン」という体内にあるホルモンを、人工的につくったお薬です。
この副甲状腺ホルモンは、血液中のカルシウム濃度を調整するはたらきがあり、それによって骨の形成をうながしてくれます。

この副甲状腺ホルモンを1日1回、または週1回、間欠的に投与すると、
「骨を過度に壊すはたらきが抑えられ、骨をつくるはたらきが活発になる
ことが研究結果により明らかにされました。

この研究の仕組みを利用して開発されたのが、テリパラチドです。
現在は、骨粗鬆症の治療薬として広く使われています。

テリパラチドは骨形成をうながすお薬ですので、ビスホスホネートやSERMのように「骨が過度に壊されるのを抑えるお薬」とは、はたらきが大きく異なります。
このお薬は、基本的には重症の骨粗鬆症の方に使用され、骨密度が極めて低い場合や、既存の治療薬を続けても骨折をしたり治療効果が十分に得られない場合などに適しています。

【テリパラチド: 投与法】

毎日注射をするタイプ (遺伝子組換え製剤) は、患者様ご自身で、皮下注射を行います。

週1〜2回注射をするタイプ (酢酸塩製剤) も、基本的には患者様ご自身で、皮下注射を行います。
医療機関にて注射を受ける場合もありますが、現在は自己注射として使用されることが比較的多いです。

自分で注射するんですね。緊張する...

確かにちょっと緊張しますよね。
でも画面上の指示通り、または説明書のとおりに操作するだけで投与できますので、ご高齢の方でも打ちやすくなっていますよ。

補足として投与可能期間は、どちらのタイプであっても、
「生涯で24ヶ月 (2年) まで」
です。

その2年間を過ぎた場合は、どうなるんですか?

ビスホスホネートなどにお薬を切り替えて、治療を続けることもあります。
補足としてその場合、「骨密度がいっそう高まること」も研究によって報告されています。
※こうした治療の流れを「逐次療法 (ちくじりょうほう) 」といいます。

もちろん全ての方が必ず切り替えるわけではなく、その後の骨の状態や診療結果に応じて、治療方針が決まります。

【テリパラチド: 副作用】

・ふらつき / 吐き気
まれに見られる副作用です。
ただし、就寝前投与などの工夫をすることで、この副作用をうまくコントロールすることもできます。
吐き気止めなどのお薬も、最初の数回は併用する場合もあります。
こうした副作用を軽減するため、1回の投与量を半分にして週2回の投与をするタイプのお薬もあります。

・高カルシウム血症
テリパラチドには、血液中のカルシウムを増やしてくれる作用があります。
ただし、カルシウムを増やす他のお薬 (活性型ビタミンDなど) と併用する場合、カルシウムが必要以上に増えて「高カルシウム血症」と呼ばれる状態を起こすことがあります。
そうならないよう、定期的に血液検査を行い、カルシウムの値を確認する必要があります。
また、原発性の悪性腫瘍、転移性骨腫瘍、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、骨パジェット病や過去に骨への影響が考えられる放射線治療を受けた場合などは、テリパラチドは使用できません。

【テリパラチド: 代表薬剤と1ヶ月の費用】

※全額自己負担として説明しておりますが、実際には70〜80代以上の方が多いので、1割負担で計算するとより実情に近い数字になると思います。
※説明にあたって、「初診料」「再診料」「管理料」などは割愛。

▼フォルテオ®

頻度投与法1ヶ月の費用
1日1回皮下注射29,412円 / 月

▼テリボン®

頻度投与法1ヶ月の費用
週1回皮下注射 (主に病院で)10,548円 / 回 ※月4回

▼テリボンオートインジェクター®

頻度投与法1ヶ月の費用
週2回皮下注射 (自宅や病院で可能)5,995円 / 回 ※月8回

▼テリパラチドBS®

頻度投与法1ヶ月の費用
1日1回皮下注射20,664円 / 月

② アバロパラチド

アバロパラチドは、PTH薬の1つであり、「骨をつくる力」を高めるためのお薬です。

【アバロパラチド: 効果】

アバロパラチドは、副甲状腺ホルモンに似た成分 (血液中のカルシウム濃度を調整してくれる) を利用したお薬です。
古い骨を新しい骨へと入れ替わりやすくし、骨密度を高めることで、骨折防止効果が期待できます。

日本人を対象とした研究では、腰の骨や股関節まわりの骨密度を高める効果が確認されています。

【アバロパラチド: 投与法】

患者様ご自身での、毎日1回の皮下注射です。

補足として投与可能期間は、
「生涯で18ヶ月 (1年半) まで」
です。

【アバロパラチド: 副作用】

テリパラチド製剤と同じように「高カルシウム血症」と呼ばれる状態を起こすことがあるので、注意が必要です。
活性型ビタミンD製剤との併用や、骨腫瘍などがある場合には使用できません。
他には、投与後にめまい、悪心、血圧低下などが見られることもあります。

【アバロパラチド: 代表薬剤と1ヶ月の費用】

※全額自己負担として説明しておりますが、実際には70〜80代以上の方が多いので、1割負担で計算するとより実情に近い数字になると思います。
※説明にあたって、「初診料」「再診料」「管理料」などは割愛。

▼オスタバロ®

頻度投与法1ヶ月の費用
1日1回皮下注射16,128円 / 月

③ ロモソズマブ

ロモソズマブ (抗スクレロスチン拮抗薬) は、
・骨を壊すはたらきを抑える効果
・骨をつくるはたらきを強める効果
両方を持つお薬です。

【ロモソズマブ: 効果】

ロモソズマブは、骨の強さを調整しているタンパク質「スクレロスチン」に作用します。
このスクレロスチンは、本来は骨がつくられすぎないようにブレーキをかけ、骨の量を適切に保つ大切な役割を持っています。

しかし骨粗鬆症の患者様にとっては、このブレーキが効きすぎて骨が弱くなってしまう事があるのです。

ロモソズマブは、このスクレロスチンのはたらきを一部抑えることで、ブレーキを適度にゆるめ、骨をつくる力を高めてくれる効果があります。

【ロモソズマブ: 投与法】

医療機関にて、1ヶ月に1度 (同日中に2本) 、皮下注射を行います。
上腕部外側に投与することが一般的です。

このお薬も「1年間まで」という投与制限がありますが、場合によっては再投与も可能です。

【ロモソズマブ: 副作用】

・低カルシウム血症
ロモソズマブは「骨が過度に壊されるのを防ぐ力」が強いので、骨から血液中にカルシウムが溶け出す量が少なくなります。その結果、血液中のカルシウム濃度が下がり、「低カルシウム血症」という状態になりやすくなります。特に腎機能が低下している方は、注意が必要です。
症状としては、手足のふるえ、筋肉の脱力感、けいれんなどがあります。
この副作用は「初回投与後1週間ほど」で起こることが多いので、ロモソズマブを打つ前後には血液検査を行い、血中カルシウム濃度を確認しておくことも大切です。
また、カルシウムやマグネシウム、ビタミンDの合剤であるデノタスや活性型ビタミンDを併用することで、低カルシウム血症を予防することができます。
※補足としてデノタスは、プラリア投与をしている場合のみ保険適応となります。

・顎骨壊死 (がっこつえし)
顎骨壊死については、「骨粗鬆症とは」ページの「骨粗鬆症と歯の関係」部分にて詳しく説明しています。

【ロモソズマブ: 代表薬剤と1ヶ月の費用】

※全額自己負担として説明しておりますが、実際には70〜80代以上の方が多いので、1割負担で計算するとより実情に近い数字になると思います。
※説明にあたって、「初診料」「再診料」「管理料」などは割愛。

▼イベニティ®

頻度投与法1ヶ月の費用
月1回皮下注射 (2本)50,122円 / 回

骨粗鬆症の治療薬: その他

① 活性型ビタミンD

活性型ビタミンDは、骨粗鬆症診療で使用されているお薬の1つです。
腸からのカルシウム吸収を助け、骨を強く保つことが特徴です。

【活性型ビタミンD: 効果】

ビタミンDは、食事から摂ることもでき、紫外線を浴びることで皮膚でも合成されます。
その後、肝臓や腎臓で活性化され「活性型ビタミンD」というものに変化します。

活性型ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進してくれます。
さらに、骨の石灰化や骨芽細胞の成長・分化にも関わり、骨の形成を支えてくれる栄養素でもあります。

このビタミンDが不足すると、カルシウムが足りなくなり、骨が弱くなります。
乳幼児では「くる病」、成人では骨粗鬆症などの原因になります。

日本人の多くはビタミンDが不足しており、特に高齢になると腎臓でのビタミンDの活性化効率が弱まります
そうした場合に、活性型ビタミンDが必要です。

なお市販のビタミンDは、「天然型ビタミンD」というものです。

あー、薬局やドラッグストアで売っているビタミンDですね。

腎機能が保たれていれば、この天然型ビタミンDでも効果を期待できます。
ただし腎機能が低下している場合には、天然型ビタミンDでは十分な効果を得にくいので、その場合には活性型ビタミンDが必要になります。

【活性型ビタミンD: 投与法】

活性型ビタミンDは、毎日服用する錠剤やカプセルのお薬です。
※ビスホスホネートのように複雑な飲み方は不要。

【活性型ビタミンD: 副作用】

活性型ビタミンDは、副作用が少ない薬です。
しかしまれに、血液中のカルシウムが増えすぎる「高カルシウム血症」という病気を起こす事があります。
それを予防するために、定期的に血液検査を行い、カルシウムの値を確認する必要があります。

【活性型ビタミンD: 代表薬剤と1ヶ月の費用】

※全額自己負担として説明しておりますが、実際には70〜80代以上の方が多いので、1割負担で計算するとより実情に近い数字になると思います。
※説明にあたって、「初診料」「再診料」「管理料」などは割愛。

▼エルデカルシトール (エディロール®)

頻度投与法1ヶ月の費用
1日1回錠剤15.9-51円

このエルデカルシトールは、以前の活性型ビタミンD薬であるカルシトリオールやアルファカルシドールと比べて、さらに骨に対する作用を強めた特長があります。

骨代謝マーカーの推移から「骨吸収の抑制効果」が認められているので、分類でいえばビスホスホネート製剤と同じカテゴリーに属すると言えるでしょう。

治療薬の選択

こうした各種薬剤は、患者様の骨折リスクに応じて選択されます。

骨折リスクの低い場合

骨折リスクの低い閉経後女性などの場合は、SERMが選択されます。

骨折リスクの高い場合

骨折リスクの高い場合は、骨吸収抑制薬 (ビスホスホネート / 抗RANKL抗体薬) が選択されます。

その他の場合

脊椎圧迫骨折や大腿骨近位部骨折をはじめとする脆弱性骨折を起こしたことのある方や、骨折リスクの極めて高い場合は、骨形成促進薬 (PTH薬 / 抗スクレロスチン拮抗薬) が推奨されます。

補足としてPTH薬や抗スクレロスチン拮抗薬は、投与終了後に無治療のままでいると骨密度の減少を来たします。
そのため、骨吸収抑制薬による治療継続 (逐次療法) が必要となります。

骨粗鬆症の市販薬一覧

ここでは、骨粗鬆症の市販薬を見てみましょう 🗒

骨粗鬆症の治療においては通常、
「病院で処方される治療薬」
を使います。

対して、
「薬局やドラッグストアなどで入手できる市販薬」
は、いわゆるOTC医薬品やサプリメントとしての扱いになります。

骨粗鬆症の市販薬: ビタミンD配合剤

医療機関では「活性型ビタミンD製剤」が処方されますが、市販されているものは全て「天然型ビタミンD」になります。
ビタミンDは、腸管でのカルシウム吸収を助けます。

骨粗鬆症の市販薬: カルシウム配合剤

カルシウム配合剤は、インターネットや薬局などで簡単に手に入ることが可能です。
それぞれ含有量や値段も異なりますが、カルシウム単剤でなくビタミンやマグネシウムなどとの配合剤もあります。
マグネシウムは、骨形成やカルシウム代謝に関与します。

骨粗鬆症の市販薬: ビタミンK配合剤

ビタミンKは、骨タンパク質 (オステオカルシン) の働きを活性化させます。

骨粗鬆症の市販薬: イソフラボン / 大豆由来製品

イソフラボン / 大豆由来製品は、閉経後女性の骨量低下をサポートします。

骨粗鬆症の市販薬: その他

他には、コラーゲンサプリやMBP (牛乳由来の乳塩基性タンパク質) などを含んだ商品も存在します。

骨粗鬆症の市販薬の注意点

市販薬はあくまでも医薬品ではなく、骨密度に対する効果が研究段階レベルであったり、実際の臨床段階で効果が明らかに証明されていないものも含まれています。

CMや広告で目にすることが多い市販薬ですが、ある程度の資本力のある企業が広告費を投じて宣伝されていることを念頭に置いておきましょう。

そのため、おすすめする成分は特にありません。
ただし強いてあげるとすれば、腎機能の悪い方が活性型ビタミンDを内服すると、高カルシウム血症や腎機能悪化をきたすこともあるので、市販の天然型ビタミンDを摂取するのもよいかもしれません。
※必ず担当医に事前相談することを推奨します。

まずは医療機関での薬物治療が第1選択ですので、
「市販薬はそれを補う位置づけ」
としてとらえていただくのがよいでしょう。

骨粗鬆症のお薬を使用されている方は、かかりつけ医とよく相談したうえで、OTC薬やサプリメントを使用することが大切です。
ちなみに「骨粗鬆症のサプリメント」については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。

終わりに

骨粗鬆症は女性に多くみられ、70代では3人に1人、80代では2人に1人が骨粗鬆症と言われています。(1)

50〜60代でも脆弱性骨折を起こしたことのある方、ステロイドを長期に使用している方、骨密度が一定値以下の方は、
「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2025年版」
においても薬物治療が推奨されています。

そして骨粗鬆症は、女性だけの疾患ではありません。
男性の場合は、サルコペニア (筋肉減少により身体機能が落ちている状態) と骨粗鬆症を同時に起こす割合が女性より高い(2)にも関わらず、骨粗鬆症に対する知識が十分ではないことが指摘されています。

今回の記事「骨粗鬆症の薬」を含め、骨粗鬆症への理解を深めることは、長寿社会の我が国において重要なことといえるでしょう。

(1) Yoshimura N et al:Prevalence of knee osteoarthritis,lumbar spondylosis,and osteoporosis in Japanese men and women:the research on osteoarthritis/osteoporosis against disability study.J Bone Miner Metab 27:620-628,2009

(2) Jean MG et al:Older men's knowledge about osteoporosis and educational interventions to increase osteoporosis knowledge in older man:a systematic review.Maturitas 68:5-12,2011

金光 廣則

投稿者: 金光 廣則

投稿者: 金光 廣則

2009年、大阪市立大学医学部卒業後、名古屋第二赤十字病院で研修。大阪に戻りPL病院、リハビリ病院などで研鑽を積む。急性期から慢性期まで経験し、手術だけでなく在宅医療にも携わる。2021年、むつみクリニックを継承開業。