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骨粗鬆症の薬の副作用

更新日:

骨粗鬆症のお薬を処方されたんですが、副作用がちょっと怖いです。
ググっていたら、「骨粗鬆症の薬は危険」という言葉も出てきました…

骨粗鬆症のお薬には、いくつかの副作用があります。
ですが正しい知識とともに適切な対策をすれば、過度におそれる必要はありません。

この記事では、骨粗鬆症の薬の副作用に関する症状 / 原因 / 予防法を、分かりやすく解説してまいります。

骨粗鬆症の薬の副作用: ビスホスホネート製剤

骨粗鬆症の治療薬において、もっとも広く処方されているのが、
「ビスホスホネート製剤」
というお薬です。

ビスホスホネートっていうのは私も使っています。

ビスホスホネート製剤は、「破骨細胞 (はこつさいぼう) 」の活動を抑え、骨密度を高めるお薬です。
とても多くの種類があります。

ビスホスホネート製剤に該当するお薬を、以下の表にまとめました。

成分名商品名薬のタイプ
アレンドロン酸ボナロン錠 35mg
ボナロン経口ゼリー 35mg
フォサマック錠 35mg
飲み薬 (週1回)
ボナロン点滴静注バッグ 900μg注射 (月1回)
リクラスト点滴静注液 5mg注射 (年1回)
ミノドロン酸ボノテオ錠 1mg
リカルボン錠 1mg
飲み薬 (毎日)
ボノテオ錠 50mg
リカルボン錠 50mg
飲み薬 (月1回)
リセドロン酸アクトネル錠 2.5mg
ベネット錠 2.5mg
飲み薬 (毎日)
アクトネル錠 17.5mg
ベネット錠 17.5mg
飲み薬 (週1回)
アクトネル錠 75mg
ベネット錠 75mg
飲み薬 (月1回)
イバンドロン酸ボンビバ錠 100mg飲み薬 (月1回)
ボンビバ静注 1mgシリンジ注射 (月1回)

ビスホスホネート製剤の副作用

骨粗鬆症の治療において「ビスホスホネート製剤」であらわれる可能性がある副作用は、以下のとおりです。

  • 胃腸障害
  • 顎骨壊死 (がっこつえし)
  • 急性期反応
  • 非定型大腿骨折
  • かゆみ
  • 肝機能障害

なかでも特に注意が必要な、
「胃腸障害」「顎骨壊死」「急性期反応」「非定型大腿骨折」
について詳しく解説していきましょう。

副作用: 胃腸障害

骨粗鬆症のお薬を飲みはじめたんですけど、胃がなんだかムカムカしてきたり、胸やけがしたりすることがあるんですよ。お薬の副作用でしょうか?

ビスホスホネート製剤で胃腸障害になると、
「みぞおちあたりの痛み」「胸やけ」「吐き気」「食欲が出ない」
といった症状があらわれます。

頻度は比較的高い傾向にありますが、その多くは軽度なものです。
たいていは飲みはじめに起こりますが、飲み続けていくことで徐々におさまっていくため、過度に怖がる必要はありません。

ビスホスホネート製剤を飲むと胃腸障害が起こるのは、お薬が直接胃や食道の粘膜を刺激してしまうためです。
ビスホスホネート製剤の成分は、粘膜を刺激しやすい性質を持っており、食道炎や胸やけの原因になる可能性があります。

そのため、ビスホスホネート製剤を飲む際には、正しい飲み方を守ることが大切です。
特に以下の2つを意識しましょう。

1. コップ1杯以上の十分な水で飲む

コップ1杯以上 (約180ml) の、水またはぬるま湯でお薬を飲みましょう。
お茶やジュース、牛乳、カルシウムやマグネシウムの多いミネラルウォーターは、お薬の効果を下げてしまいますので、必ず一般的なお水で飲んでください。

2. 飲んだあと30分間は横にならない

お薬が食道へ逆流してしまうのを防ぐために、服用後はすぐに布団に戻らず、
「座るか立って」
お過ごください。

ビスホスホネート製剤を飲んだ直後は、朝のご支度や軽い家事などをしながらお過ごしいただくのがおすすめです。

副作用: 顎骨壊死 (がっこつえし)

顎骨壊死 (がっこつえし) とは、口内細菌による感染などが原因で、あごの骨の細胞が死滅して腐ってしまう状態のことです。

症状としては、
「歯がグラグラする」「歯茎の腫れや痛み」「歯を抜いた後の傷口がなかなか治らない」
といった症状があらわれます。重症化していくと、
「あごの骨が露出して局所的に壊死」「歯茎から膿 (うみ) が出る」
といった進行になります。

えぇ… 怖いねぇ。

確かにおそろしい副作用です。
一方で、顎骨壊死の発生率はごくわずかです。

2023年の呉市での研究グループによる報告では、骨粗鬆症の薬 (ビスホスホネート製剤・デノスマブ) を使用している方が実際に顎骨壊死を起こす確率は、
約0.13% (10万人あたりで132.5人ほど) 」
と、とても低いことが分かっています。
※参考文献: Takahiro Kunihara et al. (2023) Incidence and trend of antiresorptive agent-related osteonecrosis of the jaw from 2016 to 2020 in Kure, Japan. (https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10203006)

なぜ骨粗鬆症の薬によって顎骨壊死が起こるのかについては、まだ詳しいメカニズムは分かっていません。
ビスホスホネート製剤は、骨の新陳代謝である「骨のリモデリング」を抑える作用を持っているため、それが副作用の発生と関連していると考えられています。
そのほか、歯周病菌も顎骨壊死の発生に関与している可能性があるともされています。

そのため顎骨壊死を防ぐためには、口の中を清潔に保つことが大切です。
以下の3つを心がけましょう。

1. 毎日丁寧に歯磨きをする。
2. 定期的に歯科で検診を受ける。
3. 虫歯治療や抜歯をする際は、お薬手帳を持参する。

そして歯科へ行かれた際には、必ず歯科医に、
骨粗鬆症の薬を飲んでいること
をお伝えください。

骨粗鬆症の薬を使っているなかで、もし歯や歯茎に違和感を感じた場合は、我慢せずにまずは歯科医を受診しましょう。
その際、整形外科の主治医にも「歯の治療をすることになったこと」を情報共有してください。

顎骨壊死は、予防や初期段階で見つけることが大切なんですね。

その通りです。
主治医と歯科医師がしっかりと連携を取りながら治療を進めることで、大きなトラブルにならずに済む可能性があります。

副作用: 非定型大腿骨折

骨粗鬆症のお薬を飲み続けていると、
「逆に骨折しやすくなる場合もある」
と聞いたことがあります。

それは、
「非定型大腿骨 (ひていけいだいたいこつ) 骨折」
ですね。非常にまれな副作用です。

非定型大腿骨折とは、
「軽い力 (つまずく、歩くなど) が加わっただけで、太ももの骨に生じる特殊な骨折」
です。
ビスホスホネート製剤を数年以上にわたって服用している方は、注意が必要です。

特徴としては、
「骨折前に、太ももや股関節のあたりが鈍く痛む」
「両脚の太ももで起こることがある」
といった状態がみられます。

一方、非定型大腿骨骨折が起こる頻度はとても低いことが分かっています。
国外の調査によると、ビスホスホネート製剤を飲んでいる方が非定型大腿骨骨折を起こす頻度は、
「1万人あたり6人ほど」
と報告されています。
※参考文献: Dennis M Black et al. (2020) Atypical Femur Fracture Risk versus Fragility Fracture Prevention with Bisphosphonates. (https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9632334)

ふむ…
でも骨粗鬆症の治療薬なのに、何で骨折が起きてしまうんでしょう?

人間の骨は、
「古い骨を壊し、新しい骨を作る」
という新陳代謝を繰り返すことで、しなやかさと強さを保っています。

そしてビスホスホネート製剤は、
「古い骨を壊す働き」
を抑えることで、骨を減らさないようにするお薬です。
しかしビスホスホネート製剤を何年も服用していると、この代謝を抑えすぎてしまい、非定型大腿骨骨折が生じてしまうのです。

非定型大腿骨骨折を防ぐためにできる対策は、以下の2つです。

1. 自己判断でお薬を止めない

ビスホスホネート製剤を服用している場合、自己判断でお薬を止めないようにしましょう。
自己判断でお薬を止めると、他部位の骨折リスクを高めてしまうおそれがあります。

2. 定期的な診察を受ける

まれに「診察は受けずにお薬だけをもらう」という方もいらっしゃいますが、定期的に整形外科を受診して骨の状態を確認してもらいながら治療を続けていきましょう。
レントゲンやMRIなどの検査を通じて、早期段階で発見できれば、お薬を一時的に休んだり、別のお薬に切り替えたりすることで、骨折を未然に防ぐことにつながります。

そして骨粗鬆症のお薬は、寝たきりの原因になる骨折を予防することにもつながるんです。

なるほど。納得ができました💡

副作用: 急性期反応

今日はじめて骨粗鬆症の注射を打ったんですが、急に体がゾクゾクして熱が出てきました。
病院に行ったほうがええんかな…

それは「急性期反応」の可能性があるかもしれません。
もしも急性期反応である場合、一時的な現象ですので大きな心配はありません。

急性期反応とは、骨粗鬆症の薬の投与後すぐに、
・発熱
・悪寒
・関節痛
・筋肉痛
・だるさ
・頭痛
といったインフルエンザ様症状があらわれる症状です。

急性期反応は「投与後1〜3日以内」にあらわれ、1週間以内に自然と回復することが多いです。
ビスホスホネート製剤の注射や、週または月に1回飲むタイプの骨粗鬆症薬の、使いはじめに起こります。

お薬の種類や投与方法によって頻度は異なりますが、リクラスト (年1回) の臨床試験のデータでは、
・発熱 39.3%
・関節痛 10.8%
・悪寒 4.8%
・インフルエンザ様疾患 6.8%
とあらわれることが分かっています。
※参考文献:リクラスト インタビューフォーム (https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00009947.pdf)

頻度だけを見ると多いように感じてしまうかもしれませんが、症状が出るのは初回1回目だけであること、軽症であることがほとんどです。

2回目以降ほぼ起こらないというのは、ちょっと安心ですね。

でも何でビスホスホネート製剤で、風邪みたいな発熱が起きてしまうんでしょう?

複雑なお話になりますが、これにはお薬が骨密度を高める過程でおこなう細胞へのアプローチが関係しています。

ビスホスホネート製剤には、骨密度を高めるために、実はある酵素の働きを止めるはたらきもあります。
するとその影響で、体内に「イソペンテニルピロリン酸」という成分が一時的に溜まります。

その溜まったイソペンテニルピロリン酸を、免疫細胞が異物と判断してしまい、炎症を起こす物質を分泌することで、発熱が起こってしまうのです。

急性期反応については、予防はできないものの、適切な対策をすることで症状を和らげられるでしょう。
急性期反応が起きてしまったときの対策は、以下のとおりです。

1. 自宅で安静に

基本的には1週間以内に自然と回復していくため、ゆっくりと安静に過ごすことをおすすめします。

2. 解熱鎮痛薬を使用する

急性期反応は、アセトアミノフェンやイブプロフェンといった解熱鎮痛薬で改善できる可能性があります。
市販でも購入できるお薬なので、熱や関節痛がつらいときには使用しましょう。

3. こまめに水分を摂る

熱が出ると汗をかきやすくなり、脱水状態になることがあります。
脱水状態になると、お薬が体外に排泄されるのが遅れる (副作用が出やすくなる) ので、こまめに水分を摂りましょう。

急性期反応のほとんどは、お薬を使ってから1週間以内に自然回復します。
そのためまずは、自宅で様子を見ていただくのが基本です。

なるほど… とりあえず数日は様子をみてみようと思います。

ただしもし、
「4日以上経過しても、熱が下がらない」
「市販の痛み止めを飲んでも、頭痛や関節痛がつらい」
といった場合には、急性期反応ではなく、風邪や他の感染症などの原因が考えられます。
その場合は無理をせず、整形外科や内科を受診して、医療機関の指示を仰ぎましょう。

骨粗鬆症の薬の副作用: SERM (選択的エストロゲン受容体調節薬)

閉経後の女性の骨粗鬆症治療において、処方されることが多いのが「SERM (さーむ) 」というお薬です。
骨に対して女性ホルモン (エストロゲン) と同じような効果をもたらし、骨がもろくなるのを防いでくれます。

SERMに該当するお薬を、以下の表にまとめました。

成分名商品名薬のタイプ
ラロキシフェン塩酸塩エビスタ錠 60mg飲み薬 (毎日)
バゼドキシフェン酢酸塩ビビアント錠 20mg飲み薬 (毎日)

SERMの副作用

骨粗鬆症の治療において「SERM」であらわれる可能性がある副作用は、以下のとおりです。

  • かゆみ
  • 肝機能障害
  • 深部静脈血栓症
  • 乳房の張り
  • ほてり

さっきのビスホスホネート製剤とは、副作用が全然違うんやねぇ。

そうなんです。
それではSERMのなかでも、使いはじめに注意が必要な「深部静脈血栓症」について解説していきます。

副作用: 深部静脈血栓症

深部静脈血栓症 (しんぶじょうみゃくけっせんしょう) とは、主にふくらはぎや太ももなど、足の奥にある静脈に血栓ができ、血液の流れが悪くなってしまう状態のことです。

深部静脈血栓症になると、
「片方の足 (特にふくらはぎなど) が、急に赤く腫れて太くなる」
「足を触ると、熱っぽさがある」
「歩いたときやふくらはぎを押したときに、強い痛みが出る」
といった症状があらわれます。

SERMを服用している方に深部静脈血栓症が起きる頻度は、
「1万人に1人ほど」
と報告されています。特に、このお薬を飲みはじめてから3ヶ月以内に起こる傾向があります。
※参考文献: 厚生労働省 (令和3年4月改訂) 重篤副作用疾患別対応マニュアル 血栓症

何でSERMを服用すると、深部静脈血栓症のリスクが出てくるんでしょうか。

SERMには、骨に対して女性ホルモン (エストロゲン) と同じような働きがあり、骨がもろくなるのを防いでくれます。
一方でそのエストロゲンには、「血液を固まらせる働き」を高める作用もあるので、通常よりも血栓症になりやすくなると考えられています。

深部静脈血栓症を防ぐために、以下の3つを意識しましょう。

1. こまめな水分補給を心がける。
2. 血栓症の治療経験がある方は、(SERMの服用をはじめる前に) そのことを医師に伝える。
3. 手術後などに長期間安静となる場合は、事前に「SERMを服用していること」を医師に伝える。

でも、さーむだか、選択的エストロゲン受容体調節薬だか、ちょっと覚えにくい名前のお薬やねぇ。

お薬の名前が覚えられないという場合には、かかりつけの病院へお薬手帳を持参されるとよいですよ。

骨粗鬆症の薬の副作用: 抗RANKL抗体製剤 (デノスマブ) 

骨粗鬆症の治療薬において、高い骨密度上昇効果が期待されているのが、
「抗RANKL抗体製剤 (こうらんくるこうたいせいざい)」
というお薬です。

破骨細胞の形成や活性化に関わる「RANKL」という物質の働きを抑えることで、骨がもろくなるのを防ぎます。
抗RANKL抗体製剤に該当するお薬を、以下の表にまとめました。

成分名商品名薬のタイプ
デノスマブプラリア皮下注 60mgシリンジ注射 (半年に1回)

抗RANKL抗体製剤 (デノスマブ) の副作用

骨粗鬆症の治療において「抗RANKL抗体製剤 (デノスマブ)」であらわれる可能性がある副作用は、以下のとおりです。

  • 顎骨壊死
  • 口内炎
  • 低カルシウム血症
  • 背部痛
  • 白血球減少
  • 鼻咽頭炎
  • 非定型大腿骨折
  • 貧血
  • めまい

ここでは、特に注意が必要な「低カルシウム血症」について解説していきます。

副作用: 低カルシウム血症

カルシウムは骨 / 神経 / 筋肉が正常に働くために欠かせない成分ですが、
「低カルシウム血症」
は、血液中のカルシウム濃度が正常範囲よりも低くなってしまう状態を指します。

そしてデノスマブには、血液中のカルシウムを下げてしまう作用があるのです。

そのため低カルシウム血症になると、
「手足や唇のまわりが、ピリピリ、チクチクとしびれる」
「足の筋肉が突然つる (こむら返り) 」
「手がこわばったり、筋肉がけいれんしたりする」
「動悸が起こる」
といった症状があらわれます。

プラリアの臨床試験によると、低カルシウム血症の発現率は、
「約0.8%」
と報告されています。実際に症状が出るほど重症化するケースは、非常に稀です。
なぜならプラリアを使用しているときは、血液検査でカルシウムの数値をチェックし、リスクが高い方には予防薬の「デノタスチュアブル」を一緒に処方しているためです。
※参考文献: プラリア インタビューフォーム (https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00004494.pdf)

でも何で骨粗鬆症の治療薬なのに、血液のカルシウムが減ってしまうんでしょう?

人間の骨は、
「古い骨を壊し、新しい骨を作る」
という新陳代謝を繰り返すことで、しなやかさと強さを保っています。

そしてデノスマブといった骨粗鬆症のお薬は、
「古い骨を壊す働き」
を抑えることで、骨を減らさないようにしてくれます。

ただしこの古い骨を壊す際、血液中に溶け出すカルシウムが減ってしまうため、このような副作用が起こりうるのです。

デノスマブによる低カルシウム血症を防ぐために、以下の2つを意識しましょう。

1. 一緒に「デノタスチュアブル」処方されたら指示どおりに飲む

デノスマブを用いての治療では、「デノタスチュアブル」というお薬も一緒に処方されることがあります。

でのすまぶ、でのたすちゅあぶる…

名前が似ていますよね。でも別のお薬なんです。

デノタスチュアブルは、カルシウム・ビタミンD・マグネシウムの配合剤です。
これを毎日忘れずに飲むことが、低カルシウム血症の予防につながります。

2. 食事からもカルシウムとビタミンDを意識して摂る

乳製品や小魚、豆腐などのカルシウム豊富な食材と、その吸収を助けるビタミンD (鮭やキノコ類など) をバランスよく日々の食事に取り入れましょう。
ちなみに「骨粗鬆症と栄養」については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。

骨粗鬆症の薬の副作用: 活性型ビタミンD製剤

骨粗鬆症の治療薬において、骨質を改善し、骨折を予防するために処方されるのが、
「活性型ビタミンD製剤」
というお薬です。

ビタミンDには、腸管でのカルシウム吸収を促進し、骨の形成を助けてくれる働きがあります。

活性型ビタミンD製剤に該当するお薬を、以下の表にまとめました。

成分名商品名薬のタイプ
アルファカルシドールワンアルファ錠
アルファロールカプセル
飲み薬 (毎日)
カルシトリオールロカルトロールカプセル飲み薬 (毎日)
エルデカルシトールエディロールカプセル飲み薬 (毎日)

活性型ビタミンD製剤の副作用

活性型ビタミンD製剤は、比較的安全性が高く、長期にわたって使い続けられるお薬の一つです。
ただし稀に、以下のような副作用があらわれる場合があります。

  • 胃腸障害
  • かゆみ
  • 高カルシウム血症
  • 腎障害
  • 尿路結石 / 腎結石

骨粗鬆症の薬の副作用: 副甲状腺ホルモン製剤

骨粗鬆症の治療薬の多くは破骨細胞を抑えるお薬ですが、
「副甲状腺 (ふくこうじょうせん) ホルモン製剤」
は骨芽細胞 (こつがさいぼう) に働きかけ、
「新しい骨を作る働きを促す」
という効果を持つお薬です。

副甲状腺ホルモン製剤に該当するお薬を、以下の表にまとめました。

成分名商品名薬のタイプ
テリパラチドフォルテオ皮下注キット 600μg注射 (毎日)
テリボン皮下注 28.2μg オートインジェクター注射 (週2回)
テリボン皮下注用 56.5μg注射 (週1回)
アバロパラチドオスタバロ皮下注カートリッジ 1.5mg注射 (毎日)

副甲状腺ホルモン製剤の副作用

骨粗鬆症の治療において「副甲状腺ホルモン製剤」であらわれる可能性がある副作用は、以下のとおりです。

  • 胃腸障害
  • 一過性の血圧低下
  • 傾眠
  • 高カルシウム血症
  • 頭痛
  • 注射部位の腫れ
  • めまい

ここでは、特に頻度が高い「胃腸障害」について解説していきます。

副作用: 胃腸障害

副甲状腺ホルモン製剤の注射をはじめた友人が、
「胃がなんだかムカムカしてきたり、胸やけがしたりすることがある」
と言っていました。お薬の副作用でしょうか?

なるほど。副甲状腺ホルモン製剤を使用していると、
「みぞおちあたりの痛み」「胸やけ」「吐き気」「食欲が出ない」
といった症状があらわれることがありますよ。

こうした胃腸障害は、製剤としてフォルテオよりテリボンのほうが多い傾向にあります。
原因としては、主に2つあります。

1つ目は、お薬の効果によって高カルシウム血症になることが影響している可能性があります。
テリパラチドは、血中のカルシウム濃度を高めるので、結果として吐き気が起こることがあります。

2つ目は、空腹ホルモンへの影響です。
テリパラチドは、空腹ホルモンとも呼ばれる「グレリン」の分泌低下に影響を及ぼすことが分かっています。
このグレリンの分泌が落ちると、食欲が出なかったり、胃や腸の動きが悪くなったりするので、胸やけや吐き気につながる可能性があります。

でも先生、痛みや吐き気がずっと続いたらどうすればいいんでしょう?

吐き気、腹痛、胃の不快感などが強い、または投与翌日以降も続く場合には、我慢せず医師や薬剤師に相談してください
そうした場合には、必要に応じて検査が行われ、対症療法、お薬の変更や中止が検討されると思います。

骨粗鬆症の薬の副作用: 抗スクレロスチン抗体製剤

骨粗鬆症の治療薬において、比較的新しく開発されたお薬が、
「抗スクレロスチン抗体製剤」
です。
抗スクレロスチン抗体製剤は、破骨細胞と骨芽細胞の両方にアプローチする作用を持っています。

抗スクレロスチン抗体製剤に該当するお薬を、以下の表にまとめました。

成分名商品名薬のタイプ
ロモソズマブ (遺伝子組換え)イベニティ皮下注 105mg シリンジ注射 (月1回 / 1年間)

抗スクレロスチン抗体製剤の副作用

骨粗鬆症の治療において「抗スクレロスチン抗体製剤 (ロモソズマブ)」であらわれる可能性がある副作用は、以下のとおりです。

  • 関節痛
  • 心血管系イベント (虚血性心疾患 / 脳血管障害)
  • 低カルシウム血症
  • 注射部位の赤みや腫れ
  • 顎骨壊死
  • 非定型大腿骨折
  • 鼻咽頭炎

抗スクレロスチン抗体製剤は、デノスマブと同様に、低カルシウム血症があらわれる可能性もあります。
そのため、一緒に処方される「デノタスチュアブル」を毎日忘れずに飲みましょう。

そのほか、
・狭心症
・心筋梗塞
・脳血管障害
いずれかの症状を診断されたことがある場合、抗スクレロスチン抗体製剤の使用にあたっては注意が必要です。
そうした診断経験があることを、事前に医師へ申し出るようにしましょう。

よくある質問

副作用が少ない骨粗鬆症のお薬ってあるんやろか?

エディロール (エルデカルシトール) といったビタミンD製剤は、副作用が少ないとされています。
ただし、医師は患者様の状態に合わせてお薬を選んでいますので、
「副作用が少ないお薬 = 自分に合った良いお薬」
とは限りませんよ。医師とよく相談していただくことをおすすめします。

ふむふむ…
あと、骨粗鬆症のお薬の副作用で太ってしまうことはありますか?

骨粗鬆症の薬において、「体重増加」という副作用報告はほぼありません。
ですが、エビスタやビビアントには「浮腫 (むくみ) 」の副作用報告があるので、太ったように感じることはあるかもしれません。

自己判断で薬をやめない方がよい理由

もし骨粗鬆症のお薬をやめた場合、どうなるんでしょう?

個人差はありますが、骨粗鬆症の患者様がお薬を飲まない状態を続けると、
将来的に骨が折れるリスク / 将来的に寝たきり状態になるリスク
が高まりやすくなります。

副作用のリスクを知ると、お薬が怖くなってくるかもしれません。
しかし最も避けていただきたいのは、
「自己判断でお薬をやめてしまうこと」
です。

骨粗鬆症はゆっくり進行していくので、痛みがない場合が多い。つまり、
「お薬を飲まなくても問題なさそうに感じること」
が1つの怖い部分でもあります。

そこでもしお薬をやめた場合、すぐに体調は変わりませんが、ゆっくりと骨密度が低下してしまいます。
腰や太ももの骨折によって、腰痛や寝たきりの原因になることもあります。

骨粗鬆症の薬は「治療薬」というだけでなく、骨折を防ぐ「予防薬」でもあるんです。

もしご不安がある場合には、主治医にそのことをお伝えください。
骨粗鬆症の治療薬には多くの種類がありますので、患者様に合った治療方法が提案されるでしょう。

おわりに

骨粗鬆症の薬には、副作用のリスクが存在します。
ただしこうした副作用は、適切な服用方法や定期的な検査などの対策を通じて、予防につながったり、軽症で済ませることにつながる可能性もあります。

繰り返しになりますが大切なのは、
「自己判断でお薬をやめないこと」
です。
骨粗鬆症を治療する目的は、寝たきりや介護状態につながる大きな骨折を防ぐことなのです。

不安や体調の変化があるときは1人で悩まず、まずは主治医や薬剤師に相談し、自分に合った治療方法を見つけていきましょう。

金光廣則

投稿者: 金光廣則

投稿者: 金光廣則

2009年、大阪市立大学医学部卒業後、名古屋第二赤十字病院で研修。大阪に戻りPL病院、リハビリ病院などで研鑽を積む。急性期から慢性期まで経験し、手術だけでなく在宅医療にも携わる。2021年、むつみクリニックを継承開業。「公益社団法人 日本整形外科学会」の整形外科専門医。

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