
骨粗鬆症におけるウォーキング歩数

骨粗鬆症に有効なウォーキング歩数って、何歩くらいでしょう…?
骨粗鬆症の予防をするなら「1日7,000歩」、骨粗鬆症の治療中なら「1日8,000歩」がひとつの目安です。
ただし個人差などもあるので、自分自身に合った無理のない歩数を考えることが大切ですよ。
この記事では、骨粗鬆症におけるウォーキング歩数について解説してまいります。
ウォーキングの注意点
目安について詳しく話す前に、ウォーキングにおける注意事項を説明します。
3つあるので最後まで読んでね 💡
ウォーキングの注意点 ① 特定の病気や関節痛がある場合
心臓や肺などに病気がある場合や、膝などの関節に痛みがある場合には、
「ウォーキングなどの運動を行ってよいか」
をかかりつけ医や理学療法士に事前確認しましょう。
心臓や肺などに病気をお持ちの場合、過度のウォーキングによって、病状が悪化してしまう事があります。

膝などの関節に痛みがある場合も、過度のウォーキングによって、関節により強い負担をかけてしまう事があるのです。

以上のことから、医師や理学療法士などの専門家と事前相談をし、
「ウォーキングなどの運動を行ってよいか?」
の判断をあおぎましょう。
「運動をしてよい」と診断を受けた場合であっても、少しずつ、無理のない歩数からはじめてくださいね。
ウォーキングの注意点 ② 転倒は骨折の原因
ウォーキングで特に注意が必要なのが、転倒です。
骨粗鬆症とは、骨がもろくなっていて骨折しやすい状態。
ですのでウォーキング中に転んでしまうと、骨折をしてしまうリスクが高いのです。

転倒を防ぐ工夫として、以下のことを意識しましょう。
- 山道や砂利道などのでこぼこした路面は避け、できるだけ平坦なコースを歩く。
- 疲労を感じたら、ベンチなどで休憩する。
骨折をして寝たきり状態になったら、大変ですからね。
転ばないように気をつけましょう。
ウォーキングの注意点 ③ 無理のない歩数を
目安が7,000〜8,000歩であるからといっても、ウォーキング習慣のない方が急にそうした歩数を歩いてしまうと、体にさまざまな障害が発生してしまうおそれがあります。
例えば、体力の少ない状態で歩き過ぎると、血圧や心拍数が急激に上がってしまう可能性があります。
他にも、筋力の少ない状態で歩き過ぎると、強い痛みや肉離れが発生してしまうこともあります。
特にご高齢の方については、体力や筋力が低下していることが多く、ウォーキングなどの運動を始める際には注意が必要です。

以上のことからウォーキングを開始する際は、歩き過ぎに注意をし、体力と筋力に余裕を持った方法から始めることが重要です。
7,000〜8,000歩は、あくまでひとつの目安。
自分自身に合った無理のない歩数を考えましょ。
いきなり7,000〜8,000歩を目指すのではなく、まずは、
「普段の1日の歩数に、1,000歩を足した歩数」
を目標に、徐々に歩数を伸ばしていくようにしましょう。
骨粗鬆症の予防をするなら「1日7,000歩」
ここまでの注意事項をふまえたうえで、骨粗鬆症の予防をしたい場合なら「1日7,000歩」が、ウォーキングのひとつの目安です。
過去に群馬県中之条町 (なかのじょうまち) にて行われた研究において、
「1日7,000歩・中強度の運動15分以上」
の生活をしてきた方の骨粗鬆症発症率は、わずか10%未満でした。
「中強度の運動」とは、早歩き、軽いジョギング、サイクリングなどです。
この研究例でいうと、
「1日7,000歩、そのうち早歩きが15分」
くらいのイメージやね。
この群馬県中之条町の調査では、1日7,000歩以上のウォーキングを2年間以上続けている方のなかに、骨粗鬆症の方はほとんどいませんでした。

対して、骨粗鬆症になった方の90%以上は、
「1日7,000歩・中強度の運動15分未満」
の生活をしてきた方であった、と報告されています。
つまり、
「1日あたり7,000歩以上のウォーキング」
を行うことで、骨粗鬆症になるリスクを減らすことが期待できます。
※参考文献: Park H, et al. (2007). Relationship of bone health to yearlong physical activity in older Japanese adults: cross-sectional data from the Nakanojo Study. (https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17061150)
※参考文献: Shephard RJ, et al. (2017). Objective Longitudinal Measures of Physical Activity and Bone Health in Older Japanese: the Nakanojo Study (https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27943243)
※参考文献: (2022). 青栁幸利氏へのインタビュー (https://japan-sdgs.or.jp/news/4174.html)
骨粗鬆症の治療中なら「1日8,000歩」
私はすでに骨粗鬆症になっているんやけど… その場合は何歩ぐらいがいいのかな?
こちらの注意事項をふまえたうえで、骨粗鬆症の治療中なら「1日8,000歩」が、ウォーキングのひとつの目安です。
2004年に日本骨代謝学会の学術誌「Journal of Bone and Mineral Metabolism」にて発表された論文では、
「約1時間 (歩数にして約8,000歩) のウォーキングをしている方」
の場合、そうでない方と比べて、骨に関する血液データが改善したと報告されています。
骨粗鬆症は、骨を壊す細胞が働き過ぎることで発症するとされています。
そして「1日8,000歩」のウォーキングを続けることで、この骨を壊す細胞の働きを弱める、つまり骨粗鬆症の改善効果が期待できるでしょう。
※参考文献: (2004). Effect of walking exercise on bone metabolism in postmenopausal women with osteopenia/osteoporosis (https://link.springer.com/article/10.1007/s00774-004-0514-2)
ウォーキングの時間帯
朝と夜のウォーキングなら、どっちがいいんでしょう?
朝のウォーキングのほうがより効果的と考えますが、夜のウォーキングも健康に寄与します。
要は、自分自身に合った時間を選ぶのがおすすめです。
ウォーキングの時間帯: 朝の利点 ☀️
朝のウォーキングは、日光を自然と浴びることができますので、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの合成が促進され、骨の健康に寄与します。
また、体内時計や自律神経も整えられ、代謝を高める効果もあります。

注意点として「起床後すぐのウォーキング」は、心臓発作や脳卒中のリスクを高める懸念もあります。
特に心臓や脳血管にリスクがある方については、かかりつけ医に事前相談をしましょう。
医師に事前相談をしたうえで、もしウォーキングをする場合、ウォーキングの開始時間を「起床後1〜2時間後」にしたり、前もって軽いストレッチや準備運動をするなどして、徐々に体を温めていくとよいでしょう。

ウォーキングの時間帯: 夜の利点 🌃
夜のウォーキングは、1日の終わりのストレス解消や消化促進に役立ち、睡眠の質を向上させる効果が期待できます。
夏場の場合、地域や気候によっては「夜のほうが涼しい」と快適に感じられるケースも。
ただし、骨の健康にとって大切なビタミンDの観点では、朝のほうが優位になります。
夜道を歩くときは、転んだりしないように十分に気をつけてね。
ウォーキングの時間帯: 自分に合ったスケジュールを
骨粗鬆症の予防や治療に関しては、朝のウォーキングのほうがより効果的であると考えますが、夜のウォーキングも健康に寄与します。
ライフスタイルに合わせて自分のスケジュールに合った時間を選び、継続することが大切です。
どの時間帯を選ぶにしても、なるべく一貫性をたもちましょう。
上手に歩くコツ
ウォーキング時は歩数や時間帯だけでなく、「速度」も意識するとよいですよ。
ウォーキングは速度を上げることで、体力と筋力をより向上させることができます。
具体的には、
「やや息が上がり、じんわり汗をかくくらいの速度」
もしくは、
「会話をしながら歩くことが、ギリギリできるくらいの速度」
がちょうどよいでしょう。

そして、上手にウォーキング速度を上げるには、意識して歩幅を大きくするとよいです。
大股で歩くってことやね。
歩幅をある程度大きくすることで、普段のウォーキングではあまり使っていない筋肉を使うことができ、足の裏にもよい衝撃が加わりやすいので、筋力改善が期待できます。
このように「脚の回転数 (1分間あたりの歩数) 」を高めることで、通常よりも筋肉を使うことができ、筋力アップを見こむことができます。
挫折しないコツ
ウォーキングを始めてみたよ。無理をせずに、
「普段の1日の歩数に、1,000歩を足した歩数」
を意識しているんやけど、継続できるかな?
それでは、
「ウォーキングに挫折せずに、歩数も伸ばしていくコツ」
も解説してまいりましょう。
挫折しないコツ ① 目標設定と歩数計測
まずは目標を設定しましょう。
「今日は5,000歩を歩いたから、明日は5,500歩をがんばって歩いてみよう」
「今週は3万歩を歩いたから、来週は3万5千歩を歩いてみよう」
「挫折しかけているので、いったんハードルを下げて1日5分だけ歩き、それからまた徐々に歩数を増やしていこう」
…など、自分にとって無理のない目標を立てます。

その目標をクリアすると達成感が得られますので、モチベーションが維持しやすく、習慣としても定着しやすくなります。
歩数の計測方法は、一般に2通りです。
- スマートフォンなどにある、歩数計アプリ。
- ウエストなどに装着する、昔ながらの歩数計。

歩数計アプリは、1日を通しての歩数管理がしやすいのでおすすめです。
アプリによってはポイントが貯まったり、歩数を伸ばすことでキャラクターが成長するようなものもあるので、歩数を伸ばすことが楽しみにつながります。

昔からある歩数計でも大丈夫です 🌸
挫折しないコツ ② 毎日同じ時間に
「ウォーキングを必ず毎日しないといけない」
と思うと、億劫な気持ちになりませんか?
ですが毎日同じ時間にウォーキングを続けていると、不思議と体が慣れていき、さして悩まずに自然と続けられるようになったりします。
毎日同じ時間に歩いてルーティン化することで、(義務意識というより) 無意識下の習慣に変えていきましょう。
なるほど。歯磨きみたいなもんですね。
挫折しないコツ ③ 楽しみを見つける
ウォーキングコースに楽しみを見つけることも、おすすめです。
例えば、以下のような楽しみ方です。
- ルートを変えてみる。
- 家族や友人と歩く。
- 公園で、季節の花を見つける。
- 合間に、バードウォッチングをする。
- 音楽を聴きながら歩く。
- お気に入りのお店 (喫茶店など) を、ウォーキングの目的地に設定する。
- 位置情報を利用したスマートフォンのアプリゲームを楽しむ。

このように楽しみを見つけると、ルーティンに面白い変化が加わり、飽きずにウォーキングを続けることができます。
音楽を聴いたりアプリを楽しむときには、周囲にしっかり気をつけながら歩いてね。
挫折しないコツ ④ 色んな場面で歩数確保
ときには、お忙しかったり猛暑日や雨天など、歩数確保が難しい事もあると思います。
そんなときには、以下のような方法がおすすめです。
外で歩くことが難しい場合
自宅内に廊下などのスペースがある場合、そこを往復して歩くとよいでしょう。
スペースがない場合、その場で足踏みをすることも有効です。
※足踏みでも、ウォーキングと同様の効果を得ることが可能。
お買い物時
お買い物時は、車ではなく「歩行」や「自転車」で移動するのもよい方法です。

入店後についても、例えば大型ショッピングモールの中でお買い物をしていると、知らず知らずのうちに歩数が伸びていることも多いです。
そういえば最近、イオンなどでのモールウォーキングも話題になっていますもんね。
通勤時
電車やバスでの移動時、
「いつもより1駅前 (あるいは1停留所前) で下車し、残りは目的地まで歩いていく」
という歩数確保もよい方法であると思います。
挫折しないコツ ⑤ 思考に柔軟性を持つ
体調や気分の悪い日は、目標設定を修正するなど、プレッシャーを減らしていきましょう。
無理を感じた場合には、医師に相談したり、目標のハードルを下げることも検討してみてくださいね。
まとめ
ウォーキングの歩数についてうまく理解できました 💡
よかったです。
自分自身に合った歩数目標を決めて、楽しくウォーキングをし、骨粗鬆症を予防・治療していきましょう。
最後に補足として、大阪市でのウォーキングをご検討されている場合には、以下の記事もぜひご覧ください。